その他の施設(CCRCと小規模多機能型居宅介護施設)

民間施設の中には他に「CCRC」と「小規模多機能型居宅介護施設」があります。「CCRC」はアメリカ発の新たな高齢者施設として注目を浴びています。一方の「小規模多機能型居宅介護施設」は「宿泊」、「訪問」、「通い」の3つの介護サービスを組み合わせることができる、ユニークな施設です。

本稿では「CRCC]と「小規模多機能型居宅介護施設」を説明していきます。順に見ていきましょう。

CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは?

シニア世代の新しいリスク・・・「生活不活発病」

現在の日本には介護や福祉のサービスは存在していても残念ながら、理想となる「老後の生活モデル」がありません。そこで新たに問題となっているのが「生活不活発病」といわれるものです。「刺激がない(乏しい)」、「運動をしない(=運動できる場と機会がない)」などで、不活発な状態に陥ると健康を損なってしまうのです。

「生活不活発病」は、生活習慣の改善で防げる病気ですが、それも「充実した生活」が下地になるわけです。「適度な刺激と運動」という充実した生活をすることが、長く健康を維持することに繋がります。

このような背景の中に合って注目されているのが「CCRC」です。

アメリカ発の活動的なシニア向け共同住宅

 「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」はアメリカ発の新たな高齢者施設として注目されていて、「継続的なケア付きの高齢者共同体」と訳されています。「アクティブシニアタウン」とも呼ばれるこの集合住宅の考え方は、1970年代のアメリカで始まったとされています。

つまり仕事を引退(リタイア)した人が元気なうちに地方に移住して活動的に暮らし、必要なときに医療・介護を受けながらそこで人生を全う(まっとう)できる裕福な高齢者向け共同住宅を指します。「CCRC」は  「健康な食事、充実したアクティビティと趣味仲間がいるコミュニティだからこそ可能な理想的な共同体である」、と言えます。

原点は、引退した教会聖職者のために作られたフィラデルフィアの施設。そこに信者を受け入れつつ発展し、現在は全米で2000以上の「CCRC」に75万人以上が暮らす、と言われています。

わが国では2015年6月に「生涯活躍のまち」を目指し、地方活性化のために高齢者の地方移住を促す「日本版CCRC構想」を政府が掲げて以降、この発想をベースに自立型の高齢者向け高級共同住宅が各地に作られつつあります。

「CCRC」は「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の一つとして分類されますが、「健康なうちに移り住むこと」を基本とする点が従来の「高齢者施設」とは異なっていると言えます。

「CCRC」と老人ホームの違い

「CCRC」と老人ホームとの最も大きい違いは、「入居時の状況」であると言えます。一般的に老人ホームは「健康に不安を抱えた時に入居する」傾向がありますが、「CCRC」は「健康には問題のない方々がセカンドライフを楽しむ」ために入居します。

健康ではあるけれど、一人ではできないことを楽しみたい、栄養バランスのとれた食事や仲間との生活に刺激を受けて、この健康をもっと長く維持していきたい」・・・そういった要望に応えることが可能なのが、「CCRC」です。

小規模多機能型居宅介護施設

在宅介護で「デイサービス」、「ショートステイ」といったような様々なサービスを利用しているとそのサービスの数だけ「契約手続き」や介護士等との「信頼関係構築」が必要になってきます。

そのことから、利用者の身体状況等が変化し、新たなサービスに変更しようと考えても、「手続きが煩雑(はんざつ)で大変」、「利用者が最初から介護士と信頼関係を築けるか心配」などの利用者やその家族ともに負担を感じることは少なくないでしょう。

以上のような悩みを解消してくれるのが、近年になって注目されている新しい介護サービス「小規模多機能型居宅介護施設」です。

通所・訪問・宿泊の組み合わせ

小規模多機能型居宅介護施設」は、高齢者が自分の居住地でできるだけ自立した日常生活を送れるよう、支援してくれる施設です。介護保険制度で創設された地域密着型サービスの一つで「小規模多機能」との略称でも呼ばれています。

このサービスは同一の介護事業者によって利用者の施設への「通所(通い):デイサービス」を中心にスタッフによる利用者の自宅への「訪問(ホームヘルプ)」や施設での短期間の「宿泊(ショートステイ)」が組み合わされて、それまでの家庭的な環境を可能な限り維持しながら、日常生活支援や機能訓練といったサービスが行われます。

小規模多機能型居宅介護施設の特徴

その他の特徴

対象者は「要支援1」以上です。介護保険では「居宅サービス」に分類され、グループホームと同じ「地域密着型サービス」となります。認知症には対応していますが、看取り対応は少なくなっています。

利用できるのは1施設当たり29人以下の登録制で、1日の「通所(通い)」定員は15人以下、「宿泊」は9人以下となっています。施設によっては、ずっと宿泊し続けている利用者もいます。

利用料金は要介護度ごとに決められた定額料金(自己負担額:10%~30%)+食費・宿泊費となっています。

メリットとデメリット

「小規模多機能型居宅介護施設」のメリットとデメリットを整理すると以下のようになります。

【メリット】

  • 「通所」、「訪問」、「宿泊」の全サービスを一つの事業所との契約で受けることができる
  • 状況に応じて定額で柔軟にサービスを組み合わせることができる
  • 「通所」は「午前だけ」、「午後だけ」などの短時間利用も可
  • 「訪問」は時間や回数に制限がないため、必要なときに必要な時間利用が可能
  • 少人数数のため、対象者に合わせたサービスを受けられる
  • 全サービスを同じ事業所と契約するため、違うサービスについても顔なじみのスタッフが担当することもあり、利用者が安心できる

【デメリット】

  • 馴染のケアマネージャから事業所所属のケアマネージャに変更が必須
  • 各サービスについて部分的に異なる事業所を選択することはできない
  • 「通所」単体で見るとデイサービスに特化した事業所の方が良い場合もある
  • それまでに利用可だった介護保険サービス(「居宅介護支援」、「訪問介護」、「訪問入浴介護」、「デイケア」「デイサービス」、「ショートステイ」)の併用はできなくなる

どんな人が向いているか?

以下の点に複数当てはまる場合、「小規模多機能型居宅介護施設」の利用に向いていると言えるでしょう。(参考になさってください)

  • 住み慣れた地域で介護サービスを受けたい
  • 利用する介護サービスでスタッフが変わるのは不安
  • 時間・回数を気にせずに訪問サービスを利用したい
  • デイサービスを受けているが、朝から晩までだと時間的に長すぎて辛い
  • 退院後のサポートをしてほしい
  • 日によっては体調の変化があるので、柔軟なサービス体制が望ましい

 

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